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【話題】「条件付け」における脳内報酬作用機構の解明


『パブロフの犬』の脳内の仕組み解明 | マイナビニュース

この記事だけを見ると、「古典的条件付け(レスポンデント条件付け)」と「道具的条件付け(オペラント条件付け)」を混同しているように読み取れるのですが(『パブロフの犬』は前者)、きちんと理解するには原著を読むべきなのでしょうね。記事中の研究内容の解説を見る限りだと、道具的条件付けの話をしているように思えるのですが、どうなのでしょう。

…と思って研究者のWebサイトを確認したところ、「パブロフ」と「イヌ」というキーワードは出ていましたが、書かれていた条件付けの例は道具的条件付けの方でした。

http://www.bm2.m.u-tokyo.ac.jp/Press2014.html

道具的条件付けの説明にパブロフの名前を持ち出すのは一般的ではないように思うのですが、メジャーなキーワードが好きなマスコミに注目してもらうための対策なのではないかと推測します。

【話題】メールの「お世話になっております」 って不要?必要?

メールの「お世話になっております」 って不要?必要?圧倒的に上回ったのは… – しらべぇ | 気になるアレを大調査ニュース!

http://sirabee.com/2014/07/30/1485/

 

「無くしたほうが効率がいい」というのは、よく目にする意見ですが、「機械的な情報伝達」という点においては首肯できるものの、「対人コミュニケーションを含めた仕事の遂行」という意味では本当にそうだろうか、という気がします。

 

慣習的に使われているのは、最低限の敬意を表すのに有効だったり、挨拶と同じような機能があるからではないかと思いますし、辞書登録しておけば、時間や認知のロスにはほとんどなりません。結果として、多くの人にとっては、相手によって書き方を変えるよりも、トータルで見てだいぶ効率がよいように感じます(一部の、相手との関係性などをあまり考える必要のない人であれば、使わない方が効率的なのかもしれませんね)。

 

メールの書き方というのは、人によっては戦術的に使っていて面白いですね。一番分かりやすいのは、敬称でしょうか。仕事でやりとりをしていると、最初は「様」、心理的な距離が少し近づくと「さま」、さらに近づくと「さん」というように、切り替えてくる人を見かけることがあります。相手によって通じる、通じないはありそうですが、文脈を伝えづらいメール上での工夫として興味深いなと思います。

【読了】「実践・職場のメンタルヘルス 地方自治体と大学との協働」

「実践・職場のメンタルヘルス 地方自治体と大学との協働」を読了。

 

実践・職場のメンタルヘルス―地方自治体と大学との協働

実践・職場のメンタルヘルス―地方自治体と大学との協働

 

 

タイトルから、メンタルヘルス領域での学と官の連携のプロセスが分かるかなと期待して読んだのですが、実際に何をやったかは最後の10ページほどで、残りは、前半が自治体職員に対する調査結果の解説、後半がメンタルヘルスの基礎知識の説明(おそらく研修内容をまとめたもの)という構成で、期待通りの内容ではありませんでした。

 

内容を読んでみると、メンタルヘルスの専門家というよりは自治体、あるいは企業の人事やメンタルヘルス担当者向けなのかなと思ったのですが、何の説明もなくオッズ比や信頼区間という用語を用いていたりと、読者層を定めきれておらず、ややちぐはぐな印象を受けました。

 

また、医学系の研究者が著者だからだと思われますが、心理支援に関する記述があまりなく、取り上げている方法も古典的な認知療法だったりと、対象が近くても、学問としての領域が違うとかなり認識にズレが生じるのだなということを感じました。

 

以前もどこかで書いたような気がするのですが、領域の違いという点では、選ぶ統計手法の違いが面白いですね。医学系の研究者は、ロジスティック回帰分析をよく用いるという印象があるのですが(逆に、心理系の研究者だとあまり用いる人を見ない)、診断が付くか付かないかがその後の方針を左右する医学では、0/1のように考える方が実務に適っているからではないかと思いました。一方、心理学の場合、構成概念のように目に見えないものを扱う傾向が強く、さらに、白黒で考えることをよしとしない文化があるため、連続変量で考えることが多いのではないでしょうか。心理の場合は、実務と研究の距離があまり近くないということもあるかもしれません。

 

実務の近さでいうと、マーケティングでもロジスティック回帰や判別分析のように、従属変数(目的変数)を0/1で考えることが多いですね。これも、購買の有無のように、実務に適っているからではないかと感じます。用いる手法は目的に合ったものでなくてはならない、という前提を踏まえても、こちらの方が(細かい理屈はともかく)直感的に理解しやすく、実務者に情報を伝えるにあたって便利なのかもしれません。

紙のメモの検討

Evernoteをデジタルノートのメインに据えたのもあり、紙のメモをMOLESKINEEvernoteコレクションにスイッチしようか考えていたのですが、あれこれ検討した結果、私にはうまく使えなさそうだなと思い、取りやめました。

 

紙のメモは、RHODIAの16番をかれこれ7〜8年使い続けているのですが、私のメモを付け方として、「アイディアを積み重ねる」ものではなく、「一次的/一時的な考えの整理の場」として利用することが多く、また、全く内容の異なる仕事を並行して行うことが多いため、MOLESKINEのようにメモを切り離せないタイプのものは、おそらく自分には合わないのではないかと思います。

 

RHODIAは、メモしたものを切り離して、それぞれの仕事ごとにまとめて整理して、各作業が終わったら破棄する、という使い方をしており、この使い方のままだと、MOLESKINEをうまく使うことができなさそうです。必要で残しておくべき内容は、仕事の中でデジタル化されて記録として残っていくので、この使い方が自分にとっては今のところ最も効率的な使い方だったりします。

 

ただし、上記の使い方は、経過・プロセスを記録する、という意味では適切なメモの取り方ではないため、そういう記録が必要になった際には、改めてMOLESKINEの利用を検討しようかな、と考えています。

 

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iPad mini Retinaの活用に向けて

iPad mini Retinaをもう少し仕事でも活用しようとあれこれ整理中。とりあえず、あまり使っていなかったEvernoteの活用方法の検討と、名刺管理アプリの導入を進めています。


Evernoteについては、メモと読み物PDFを入れておいてタグで管理するというのが一番簡単そうですね。PCのOfficeなどで編集したり、他者と共有するデータなどはOneDriveやDropboxといったクラウドを使う方が良さそうです。


名刺管理は、Evernoteでもできるようですが、使い勝手等を考えて、専用のアプリを導入してみました。OCRの精度はイマイチですが、管理しやすそうなので、ちょっと使ってみようと思います。この手のアプリは、データを貯めるほどスイッチングコストが高くなっていくので、試しながら、慎重に使い勝手を確かめていきたいです。

【読了】「ビジネススクールで教えるメンタルヘルスマネジメント入門」佐藤隆(著)

ビジネススクールで教えるメンタルヘルスマネジメント入門」佐藤隆(著)を読了。

経営学メンタルヘルスの融合」というのは、かけ声としてちょくちょく目にするようになってきているものの、ここまでまとめられたものは初めて読みました。メンタルヘルスの専門家というよりは、人事担当者やマネジャー、経営者向けの内容になっていて、内容そのものは平易なのですが(逆に、マネジメント系の知識が無いと少し読みづらいかもしれませんが)、マネジメントとメンタルヘルスHRMメンタルヘルス、という観点から筆者の実務経験を踏まえて丁寧にまとめられており、タイトル通り入門書としては読みやすい内容だと思いました。

惜しいなと感じたのは、事例や提案されているソリューションが基本的に大企業向けのもので、そもそもの意識が低かったり、経営体力的にコストを割けない中小企業のメンタルヘルスケアに対する言及がほとんどないところでしょうか。ただ、グロービスの大学院の授業テキストという側面もあるようなので、そもそも中小企業は目的から外れているのかもしれません。

【読了】「漫画・日本霊異記」ichida(著)

「漫画・日本霊異記」を読了。タイトルの通り、日本霊異記日本国現報善悪霊異記)のコミカライズ版です。

 最古の仏教説話集といわれる通り、仏教の教えを広める目的の話を集めたものとなっています。「因果応報」という考え方を教えるために、時に残酷だったり、下世話だったりする内容の話も含まれているようで、一方では、日本最古の怪談話ともいわれているようです。

感想としては、マーケティングツールとして「日本霊異記」を見ると、現代に通じる方法だなと思いました。提案時に、相手の興味を惹きそうで分かりやすい具体的事例を入れる、というのはよくやることですが、「日本霊異記」の目的(より広い層に対して因果応報の概念の周知させる)ことを考えると、様々な立場の登場人物の俗っぽい振る舞いとその結果を具体的に描くというのは、まさに興味を惹きつけるうってつけの方法だったのではないかと思います。

また、口コミで広がりそうな怪談話というのも興味深いです。現代の都市伝説を含め、怪談話などは口コミで広がっていきます。それだけ、人々の興味を惹きつけるということなのだと思いますが、そうした興味を喚起させるストーリーの中に伝えたい考え方を入れ込むというのは、とても戦略的だなと感じました。今でいうところのバイラルマーケティングの走りともいえます。

妖怪話や民間伝承なども、道徳的な話、禁止行為を伝えるような話が多かったりと、教育的・指導的色合いが強いなと感じることが多いのですが、怪談系の話の根っこの部分に、日本霊異記と同じような目的があるのだとすれば、何となく納得できるように思います。

古事記」「日本書紀」といった歴史書も、同様の機能を有していると思うのですが、これら(特に日本書紀)は、政治的な影響が強いともいわれていますし、読み比べてみるのも面白そうです。