たまっていくペットボトル

理屈と膏薬はどこへでも付く

【話題】公認心理師法案の廃案が確定的との情報

国会解散の流れに伴って、公認心理師法案の廃案が濃厚のようです。

ツイートのリンク先の追記を見ると、「次の審議入りのチャンスは早くても2015年3月以降になる見通し」とあります。ただ、関係者以外にとって注目度が高いとはいえず、大手マスコミにもほとんど取り上げられることのなかった心理職の国家資格化に関しては、優先度が高いとは思えませんので、すぐに、というのは難しいかもしれませんね。

また、大きな問題として、関係者内での意見の一致が見られていない、という状況があるため、いずれにしても険しい道のりとなりそうです。

【雑感】精神分析とビジネス系自己啓発の接近に思うこと


フロイト派の夢解釈とユング派の夢分析:日経ビジネスオンライン

精神分析とその一派(自我心理学、対象関係論、自己心理学、新フロイト派等々)、さらにそこから派生した様々な理論(分析心理学、個人心理学、実存分析、交流分析等々)とビジネス系自己啓発の接近、というのはなかなか興味深いです。

こうした諸理論が描くストーリーというのは、不確実な事柄や出来事に対して特定の視点や解釈を与えるもので、それによって得られる安心感は、これらの理論の重要な機能であり、理論が拡散していく要因になるものだと考えられます。宗教やカリスマと呼ばれる人達の言説なども同様の機能を備えていますね。

フロイトによるオリジナルの精神分析が、2つの世界大戦前後の不安定な情勢下の富裕層の間で流行った、という歴史的・社会的背景を踏まえると、現在のビジネスマンの間で一定の需要があるというのはなんとも象徴的に感じられます。

【雑感】企業のメンタルヘルスケアに感じる「自己責任論」的雰囲気


700万人メンタル不調時代に効く処方せん:精神的にタフなビジネスパーソンになるための3カ条 (1/2) - 誠 Biz.ID

この記事に限らず引っかかるのは、企業のメンタルヘルスケアが、ストレスへの対処を個人に帰属しがちであるという部分です。いわゆる「自己責任論」的な雰囲気が出ていて、何だかな、という気がします。

研修などでも、セルフケアに関して「個人の対処が重要」ということを強調すると、「じゃあ、ストレスに対処できない私たちが悪いのか?」と反感を買ってしまうという話を聞きます。個人の対応が大切な一要素であることに異論はありませんが、その一要素ばかりを強調して、企業の労働環境調整や業務のあり方について「営利企業だから仕方ない」ものとして踏み込まないというのは、従業員にとってフェアではない視点ではないかと思います。

【雑感】ここ最近の大学教育の議論を見ていて感じたこと


旧帝大と慶応以外は「職業訓練校化」すべき? 文科省の「有識者資料」に議論白熱

実学学術、どちらの世界にも中途半端に足を突っ込んでいるコウモリ的立場からすると、どちらにも、相手を軽視し、敵対しようとする人が一定数いるな、という印象を抱きます。どちらの集団でも、内集団をひいきし、外集団を貶めることで、所属集団への帰属意識を高め、ある種の自己効力感と安心感を醸成していて、そうした結果がもたらされることによって、その認知・行動傾向が強化・維持されているのではないかと推測します。

短期的にみると、自信と安心が醸成されるので、適応的といえなくもない学習行動ですが、中期・長期的、あるいは集団のメカニズムとして見ると必ずしも機能的ではなく、むしろ成長や発展を妨げるような不適応状態になり得るという点では、近視眼的、視野が狭いともいえそうです。ただ、ここ最近の大学教育をめぐるあれこれを見ていると、そうした視点にならざるを得ない程に余裕がなくなっていて、自己防衛的な行動なのかもしれないなという風にも感じます。

敵と味方を単純化し、互いをステレオタイプ的に捉えれば、認知的な節約が可能となります。また、自分の理解できる指標のみを判断の根拠にする、というのも同様の機能があります。これらはこれらで、場と状況を踏まえて適切な使い方をすれば有効な思考パターンですが、勧善懲悪が現実にはほとんど存在しないように、世の中の大抵のことは、シンプルに二分したり、明確な指標だけで全てを測定・評価することは困難です。「実学か、学術か」といった議論も、そもそもこういった単純化された枠組みを超えないことには、効果的な解決法には結びつかないのではないかと思います。

良くも悪くも頭で考えるタイプの人達が、そういった傾向に陥りがちというのは、考えるという長所を自ら放棄しているようで、もったいないなあという気がします。ただ、そうした認知的節約をしなければ、現在の状況に対応できないのだとすれば、やはり世の中の余裕がなくなってきているのかもしれません。

【雑感】Yosemite発表を受けてぼんやり考えたこと

MacのOSが無料でアップデートできるというのは素晴らしいと思うのですが、一方で、買い換え促進のための戦略だろうなとも考えられ、また、年一度のペースだとプリンタ等の周辺機器のドライバ更新が追い付かず、仕事をする上ですぐにはアップデートできないので、なんとも複雑な気分になります。

今、仕事での利用も含めて外せないソフトといえば、OfficeとAdobe製品(Ai、Ps、Lr)、Evernote、Rくらいで、さらにAdobeは月額での利用でOS関係なく利用できるはずなので、よくよく考えると、MacからWinにスイッチしても本体以外に追加の費用が発生しない(Officeはプレインストールのものを選ぶか、365への切り替えが必要ですが)ということもあり、悩ましいところです。Officeに関して言えば、作業のしやすさやデータの受け渡し等を考えるとWin版の方が何かと都合が良い、というのもあります。

MacもWinも、どちらも普通に使う分には問題ない程度には慣れているので、メインのパソコンをWinに戻してみても良いかもしれません。とはいえ、今のMacBook Airが現役で十分に使えているので、買い換えはまだ先の話になりそうです。


Apple - OS X Yosemite - 概要

 

【話題】個人でも手軽に使えるWebアンケートサービス


BizHacks:設問作成から集計まで全部できるWebアンケートサービス5選 (1/2) - 誠 Biz.ID

少し前までは、個人でも使えるような手軽なWeb調査サービスがあまりなかったので、充実してきているのはありがたいです。

紹介されているサービスのうち、SurveyMonkeyは作成画面をちょっとだけ触ったことがありますが、設問形式も基本的な形は一通りできて自由度も高そうだったので、リサーチ会社のパネルを使う必要がなければ、割と本格的なWeb調査もできそうな印象を受けました。

ただ、調査画面の作成は地味に手がかかるので、効率的には使いこなすには慣れが必要かもしれませんね。

【話題】企業に対する有休消化の義務づけ


有休消化、企業に義務付け 長時間労働を是正 :日本経済新聞

有休が好きなタイミングで取得しやすくなれば嬉しいですが、有休取得率という数値を上げるためだけで、従業員にとって使い勝手が悪い、あるいは実効性に乏しいものになってしまわないかという点で気になります。

例えば、夏季休暇や年末年始の休暇を減らして、これまでと同じ日数を休みたければ有休を使いましょう、といったことを行うと(正式な制度にするとなると年次有給休暇の計画的付与になり、労使協定の締結や就業規則の改定などが必要になるのではないかと思いますが、あくまで任意という形にする)、単純な有休取得率は上昇します。が、従業員の負担は変わらないどころか、有休が減るという意味ではマイナスにすらなってしまいます。企業としては、有休取得率という数値が上昇するので、従業員の福利厚生にも気を遣っていると対外的に言えることになります。

また、義務という締め付けだけでは、外からの目が届きにくい中小企業(特に小規模企業)では仕組みとして機能しにくく、たとえ監査のような仕組みがあったとしても、形骸化してしまう可能性が高いのではないでしょうか。ABA(応用行動分析)でも、罰による問題行動への対処のリスクとして、禁止された行動を「隠れて行う」ことを学習してしまうことが挙げられていますが、同様のことが企業の行動にも言えるでしょう。

有休取得率を海外水準に近づけようという目標は素晴らしいですが、そのためには、数値的にしか判断できない決まり事を作るよりも、組織風土や社会的、文化的価値観の改革やメリット提示などを推し進められるような、もっと地道な取り組みの方が大切なのではないかと思います。